愛は惜しみなく与う④

その足を振り払ってやりたかったのに、腕が本当に思うように動かない

3.4年一応兄弟として家にいるが


こいつが1番たちが悪い

おかしいな

生きてるじゃん、俺


夜中はもう、そのまま凍え死ぬと思ってたけど…あの変な男のおかげなのか、生かされた

すると家の中から父親がでてきて、俺をチラリと見た


そして口を開いた



『その服どうした?』

見慣れない服を着ていることにイラついたのか、俺が誰かに優しくされたのがイラつくのか……

ただ殴りたいだけなのか

無理矢理服を引っ張られ、引きずられる形で立ち上がる

足も固まり身体中痛かったが、俺の体のことなんて気にもしないもんだから


あったかい上着をひっぺがされ、マフラーや手袋も取られた

でもあれは

あいつの服!


『返せよ!』


父親の持つ服をつかんだが、虫でも追い払うかのように、手の甲で叩かれて、俺の身体は庭に転がる


くっそ
口の中が切れた

じんわりと広がる血の味

やっぱ



生きていたくないな、こんな世界