愛は惜しみなく与う④

その後に男は、マフラーや手袋も俺に渡してきて、ものすごい薄着になった

そして家はどれかと聞かれ、真後ろの家を指差すと
『じゃあ明日』
それだけ言って、小走りで去っていった



は?


ほんと、は?としか思えなかった

傘も置いていき服も置いていき…
この寒さを凌げるくらいの防寒体制になった。


『あったけぇ…』


知らない男が脱いだダウンだけど、すごくあったかくて、傘を肩にひっかけたまま



俺はその場で眠った


雪山なら死ぬやつだけどさ?
なんせ泉とかいう男が走っていったら、雪も止んで、次第に朝日も昇った


今思えばなんであの時間に泉があそこにいたのか、この家の前を通ったのか不思議で仕方がないけど



今なら運命だったんだって思える

神様が俺に巡り合わせてくれた


大事な友達



そして眠っていた俺は、横腹あたりに衝撃を受けて目を覚ました

『いてぇ』

身体中が悲鳴を上げるくらい痛い

そして横腹を蹴ったのは大和だった


『何お前、ここで寝てたの?』


クスクスと笑いながら横腹を蹴られる