愛は惜しみなく与う④

『支えにしてたもんも、全部消えた。あの…あの写真が…あの写真が唯一の繋がりだったのに!!!!』

声に出すと
吐きそうなくらいしんどかった


『写真?』

やっと口を開いた男は尋ねる

別に誰かに聞いて欲しかったわけじゃないんだよ。俺は今までのこの状況を人に話さない。父親が暴力を振るう人だという事は、加藤さんとかにも伝えてたけど

そういうのじゃなくて


俺の気持ち


それを言うのは初めてだった



『4年前に…自殺未遂した、お母さん。会いたいんだ。守りたかった。今なら守れるかな?まだ俺ガキだけど…お母さんといれるなら…なんだって耐えれたのに』


握った掌をひらくと
破られた写真のカケラ

もう
何が写ってたなんて、わかりゃしない

あぁしんどいな辛いな。認めなかった。俺はかわいそうだと。虐待されて辛いだなんて、認めたくなかった


でも



『もう生きてたくないな』



そう呟いた途端、涙が溢れ出した


本当の気持ち


ずっと我慢していた




そうか

俺は



生きていたく無いんだな