愛は惜しみなく与う④


小学生からの付き合いなんやな
でもなんか、海斗さんから、泉の小学生の頃の話を海で聞いたから、想像つく


「ここも身寄りない奴らが何人もいるから、当時は特に、組長も何も言わなかったですね。お前が責任持てって若に言って、それ以降は何も。若が中学卒業して、一人暮らしを始めた時に、朔も一緒に出て行きました」


だから、この前の抗争で、久しぶりに朔に会ったんですよ。

白瀬さんはそう笑った


「親が…迎えにくることはなかったん?」


突然小学生の子供が家を出て…何も気にしないんやろうか。
法律とか難しいことはわからへんけど…

でも白瀬さんは悲しそうに笑うだけだった


そう、か

そうやんな

よく考えれば


あたしも似たようなもんか


居なくなっても悲しまれない。むしろ、あたしが死ねばよかったって言われるんやもんな


子供が家出して、親が探しに来ないなんて


普通にあるんかもな

変な空気が流れたまま、蕪木組の中を歩き、キッチンにたどり着いた。



朔……

早く2人で話そうよ。すっきりするまで一緒に泣こうよ…



------