この写真をみて。お母さんの笑顔を見て
自分がとても恥ずかしい奴だと悟った。
こんなんじゃ…
お母さんは抱きしめてくれないな
ずっと堰き止められていた感情は一気に溢れ出す。
『お母さん…』
その日は写真を抱きしめながら、蔵で眠った
あいつ誰だったんだろう
高校生かな
わかんねぇけど…
すっげぇ強かったよな…
そしてその日から俺は
加藤さん達とつるまなくなった
また1人
誰も俺を見ない
話しかけられもしない
話を聞いてももらえない
それでも
前とは全然気持ちが違った
清々しいって言ったらおかしいけど、本当にそんな気分だった
けど
やっぱり家からは逃げられなかった
いつもと同じ暴力
それに加えて
最悪なことが起こる
大和が俺が大事に持っていた、お母さんの写真をみつけた
ひらひらと見せびらかすように、父親とあの女の前に持っていく
必死だったんだ
俺は大和を突き飛ばして写真を奪いかえした。今まで一度も抵抗なんてしなかった
でも
この写真だけは。この写真が俺の支えだから



