愛は惜しみなく与う④

泉は白瀬さんを呼ぶ

「若、どうかしましたか?」

「杏にキッチン使わせてやって。朔の飯作る」

「それでしたら、私が作りますけど?」

「お前の飯じゃなくて、杏の飯食いたいに決まってるだろ」


泉は白瀬さんの頭をコツンと叩く

白瀬さんの後をついて、キッチンへ。志木もその後ろをついてくるが…



「あんたは!新と!」


キッと睨むと、少し眉を下げて分かりましたと、元の場所へ戻った


「杏ちゃん、凄い人従えてるんだね」

「ちょ、白瀬さん!従えてるって言い方やめて!」

不意を突かれて笑ってしまった
たしかに、従えてるけど!


「白瀬さんと朔は仲良いの?」

「そーですね…最近は全くこの家に来ませんでしたけど、幼い頃はよく遊んであげてましたよ」


若が蕪木組から離れたくらいから、朔のことは、見かけなくなったと。
それはきっと、泉が家の事に巻き込みたくなかったからやろうな…


「若が小学生の時ですよ。朔を抱えて帰ってきて。家に帰せないから、うちで面倒みるって言ったのは」

「なんと!!」