愛は惜しみなく与う④

そしてこの暴力よりもムカつくことがあった。

それは大和だ

一応こいつは俺の弟ってことになってるんだけど、なんともまぁいけすかない奴だった。

父親とあの女が居ない時

大和は俺によく話しかけてきた。


『あんたが殴られてくれるから、俺は殴られずに済む。助かるよ』

『うるせぇ』

『顔は殴られないからいいじゃん。俺なんて母さんによく顔を殴られたよ』

『……無視するって決めてんだろ?話しかけてくんなよ』

『冷たいなぁお前学校に友達いないだろ』


まじでこいつ、むかつく
それしかなかった。
いつも挑発してくる。そして俺はその挑発に乗ってしまう

兄弟喧嘩なんてそんな可愛いもんではない。


お互いが暴力に慣れてる喧嘩は、見れたもんではないだろう


俺と大和の違いがあるとすれば1つ


『兄さん、誰かを傷つけてるね』


そう

俺は家で受けた虐待の鬱憤を外で晴らしている。だから俺も

誰かを殴り慣れてしまっている

そのへん大和は、殴られ慣れているが、やり返してはこない