愛は惜しみなく与う④

何をしても、誰も俺のことを見ない


俺何かしたか?
あの女にお前なんか母親じゃないって言ったからか?

何かおかしな世界に迷い込んだ気分だった


生きるための衣食住
それは一応用意してある
思い返せば、お母さんがおかしくなってしまった時のようだ

お母さんの目に俺が映らなくなったあの時みたい


目の前で大和と父親と女が、食卓を囲む

俺はそのそばでその光景を見ていた


何か言っても誰も反応しない

ムカついて物を投げると、食卓の皿は割れて、飲み物はこぼれた

シーーンとなったが誰も何も言わない

おかしいだろ


そう思った時、俺は衝撃と共に床に倒れた

あぁ殴られた


久しぶりだ、これ

父親に殴られて床に頭をぶつける
しかし父親は、俺を殴るとすぐに何事もなかったかのように、食卓に戻った


そしてその夜

大和が言った



『お前が標的になったな。言ったろ?わかってないって。やっとあの暴力から解放される』


子どもらしくない発言
全てわかっていたと言いたげな大和