愛は惜しみなく与う④

次の日から、俺はお弁当を持たされた
初めての弁当

教室では、いつも話しかけてこない奴らが、話しかけてきた

『一緒に食べよう』

嬉しかったんだ、ほんとに

感情の表現の仕方が分からなくなっていたけど、人の優しさはいつも嬉しかった


そんなこんなで、奇妙な生活が始まった。

俺はその頃から父親から殴られることもなくなり、毎日食卓には4人揃っていた


相変わらず大和は無口で面白くないやつだったが、夜も女と一緒に寝ていたため、俺は大和と話す機会もほとんどなかった


家族ができた

形はおかしいけど、暴力もなくなり、学校でもうまくやれだした俺は、この奇妙な生活に麻痺していた


大和の顔に痣ができているのも


みて見ぬふりをしたんだ



自分の平穏のために


でもそれはすぐに崩れた。こんな不安定な平穏が続くわけなかった。

その日も学校で家のことを馬鹿にされた。こいつは本当の母親がいないと。


もちろん殴った

同い年くらいじゃもう相手にならない。
俺は本当の暴力を知っているから