愛は惜しみなく与う④

『…お前も殴られてんの?』

そう声をかけてきたのは大和
俺はただ睨み返した
生意気な子供。俺もだけど、こいつも、冷めた目をしていた


『お前が標的になりそうだな』


大和はそう笑った
どういう意味かもわからなかったけど、俺は無性に腹が立った

そして大和を殴った


その音に慌てて部屋に飛び込んできた2人


『朔!大人しくしてろって言っただろ!大和くんに手を上げたのか!』


あ、

殴られる


そう思い反射的に体を丸めた

でも

痛みを感じなかった


『まぁまぁ、男の子同士ですから。喧嘩くらいしますよ。大和?大丈夫よね?』

『…うん、大丈夫』

ほら、仲直り
女にそう言われて、大和と握手させられた。

あの父親が

俺を殴るのを我慢した


こんなことあるんだ

俺は嬉しかったけど、わかっていなかったんだ。

大和、お前も殴られてるの?という聞き方とお前が標的になりそうだ。という言葉の意味が


大和も


虐待されていたんだから