愛は惜しみなく与う④

印象に残ってるのか
忘れちゃダメだと頭が分かっているのか

思い返せば鮮明に蘇る記憶

俺頭悪いのにさ?覚えてるんだよ。嬉しかったことは消えていきそうなのに。


話してるとき俺はどんな顔をしていたんだろうか。隣に座り、こちらをみていた杏の顔は、見れたもんじゃなかった


「ぶっさいく。なんてツラしてんだよ」


化粧も落ちたのか少し黒い涙が流れる杏は、鼻水もすすり、よく見たら急いできてくれたからか、髪もボサボサで、服には砂や草もついてる

どうやったらこんな、ボロボロになれるんだよ



「朔…ずっと暴力振るわれてたん?」

「……あぁ。物心付いて俺が、泉に助けてもらうまで。ずっとだ」


今こんな喧嘩してる奴がさ、昔は暴力振るわれてたってだせぇじゃん。
俺も同じように人殴ってんのかよって

たまに思う

杏は俺の両手をふわりと包むように持つ


「どんな気持ちで人を殴った?しんどかったやろ。重みわかるやろ。辛かったな」


杏はそう涙を流した

人一倍、暴力に敏感だったはずなのに。
俺は、暴力に逃げた