愛は惜しみなく与う④

その温もりは、お母さんとは全然違ったけど、優しい気持ちは伝わった

『検査のために君の体を見た。長く…苦しんでたんだね』

『……少ししたら消えるんだコレは。でもお母さんの涙は消えなかった』



俺のあざや、お母さんのあざは、時間が経てば癒えた

でも

心におった傷は消えることはない

なにも分からない俺よりも
全て分かってしまっていたお母さんの方が、辛かっただろうなって

今になって思う



その時はよく分からなかったけど、いま思うと、お母さんは父親と梨沙を刺そうとしたんじゃない
 
2人の目の前で自殺しようとしたんだ


あの日以来俺は、お母さんに会えていない

どこに行ったかも聞かされていない

ただ生きていると知って、それだけでよかった。


だって俺の地獄の時間はまだ始まったばかりだから


この先俺は、泉に出会うまで


生きているなんて実感できたことはなかった


クソみたいな人生を


いつ終わらせれるのか


それしか考えていなかった



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