愛は惜しみなく与う④

覚えてる
お母さんが倒れたこと

その数時間後に父親がきた


『……お母さんは施設に入る。精神を病んだみたいだ。死んでない。でももう俺たちは引っ越すぞ』


淡々と告げられる事実

俺は今年、小学1年生になったばっかだぞ?

友達もできた

足し算だって出来るようになった

お母さんに…

勉強も教えて欲しかった


もっともっと




『お前のせいだろ!!!!』


心の奥底に眠っていた感情が初めて爆発した。手当たり次第に物を父親に投げ、力の限り暴れた


あぁ

スッキリする

そう覚えてしまった



なんとなく分かった



『だから、俺を殴ったんだな。俺とお母さんを殴ってた。スッキリするんだな』



そう

俺は暴力を振るわれていた


お母さんがいない時

お母さんが守ってくれない時

でも俺は慣れてしまっていたんだ

むしろお母さんが殴られてる方が辛かったから


病室に医者が入ってきて父親は外に放り出された



『いつからなんだい?』


全く知らないおじさんに、抱きしめられた