愛は惜しみなく与う④


『ねぇ朔?』

『なに?お母さん』

『お母さんのこと好き?』

『もちろん!俺、お母さんが1番好き!』

俺はお母さんを守るために強くならなきゃ!
父親が殴ることから、俺が助けてあげられるようになれば、きっとお母さんは今日みたいに俺を見てくれる

ちゃんと抱きしめてくれる



でも


俺が強くなろうと決意するには
  

もう遅すぎた




そのあとお母さんは、俺にここで待っていてと言い残し、二階に向かう


そして梨沙の悲鳴と、お母さんの怒鳴り声

父親の大きな声が




今も俺の耳にこびりついている



不安になり二階へいくと


『朔、愛してる』


そう言いながらお母さんが廊下に倒れた



そのお腹には


包丁が刺さっていた


俺はきっとそこで気絶した
だって何も覚えてないから  


次に目を覚ました時は、白い病院のベッド

周りにいて欲しかったお母さんは居ない


そこに居たのは知らない医者



『よく頑張ったね』


何故かそう言われて涙が止まらなかった