『ねぇ朔?』
『なに?お母さん』
『お母さんのこと好き?』
『もちろん!俺、お母さんが1番好き!』
俺はお母さんを守るために強くならなきゃ!
父親が殴ることから、俺が助けてあげられるようになれば、きっとお母さんは今日みたいに俺を見てくれる
ちゃんと抱きしめてくれる
でも
俺が強くなろうと決意するには
もう遅すぎた
そのあとお母さんは、俺にここで待っていてと言い残し、二階に向かう
そして梨沙の悲鳴と、お母さんの怒鳴り声
父親の大きな声が
今も俺の耳にこびりついている
不安になり二階へいくと
『朔、愛してる』
そう言いながらお母さんが廊下に倒れた
そのお腹には
包丁が刺さっていた
俺はきっとそこで気絶した
だって何も覚えてないから
次に目を覚ました時は、白い病院のベッド
周りにいて欲しかったお母さんは居ない
そこに居たのは知らない医者
『よく頑張ったね』
何故かそう言われて涙が止まらなかった



