父親からそれを告げられて
夫婦仲をよくして欲しけりゃ、家で大人しくしていろと言われた


当時の俺にはよく分からなかった

お母さんが突然俺のことを無視する。
そう思ったけど、それ以上に

父親と母親が仲良くしていることが、嬉しかったんだ


子供が居ないとなれば、二人はただの夫婦。昔のような幸せなカップルに戻れたのだろう


俺はその輪に入れなかったけど


二人が幸せそうならいいや。そう思ったのは、覚えている


でも寂しかった


俺の面倒は基本的に父親が見た

でも、何をしてくれるわけでもなく、ただただ生かされている。そんな感じだった。


母親は元気になり、仕事にも復帰。
看護師をしていた母親は、夜勤なども多く忙しくするようになった


そんな時


父親が、一人の女性を連れてきた



元々おかしかった俺の人生は

ここで再び狂うことになる




『はじめまして、朔くん。梨沙っていうの。よろしくね』


お母さんよりずいぶん若い女
むしろ、俺の姉だと言われた方がしっくりくるような、そんな人