愛は惜しみなく与う④

その通りや

泉が言った通り

朔はまだ過去から目を背けてる
ま、あたしは人の事は言えない身や。泉はパパちんと仲直りして、前を向いてる

でも、あたしも朔も

過去で止まってる

気持ちが、感情が、その時の想いが



誰にもぶつけれずにいる

朔の言う、毎日楽しい幸せということの中に、きっとあたしも入ってるから


「仲間なんていらん思ってたけど、ここに来て朔達に出会えて、あたしも幸せやで」


だから
あたし達が朔を大事に思う気持ちは、何があっても変わらないから…



「杏がさ、サトルのこと殺すつもりでナイフで刺したって言ってたじゃん?」

「うん?」

朔が何を言いたいのか分からず、首を傾げる


「俺さ、その話聞いた時なんとも思わなかったんだよ。むしろ、その時俺も一緒にいてやれたらって思った」

でもさ?


その後に朔は笑って言った


「人を殺すつもりで刺したって、普通にやべぇじゃん?知らねー奴がそんな事してたら、きっと俺、普通に引いてると思う」

えっと?
朔笑ってるけど、ここ、あたしも笑うところ?