愛は惜しみなく与う④

「帰ってみんなに話そう思ってた。やし、帰ろう」

「…倉庫無事?」

「何人か怪我したらしいけど、慧達がなんとかしてくれたよ」


そっか。よかった
本当は俺もそっちに行って、下の奴らを守るべきだったのに

大和はどうして俺を呼び寄せたんだろう



「で、どーする?」

「ん?」

「このまま帰れるし、赤羽組も明日には消えてる」


??それでいいじゃんか
どーするって?もう、帰って早くみんなに会いたい

自分の居場所に戻りたい



「さっきも言うたけど、チャンスは今だけ。明日には朔の父親も摘発の対象になってるから。もう会えへんよ?ええの?」


「二度と会いたくないから、せいせいするよ」


本当はもう、この家の近くにさえ来たくなかった。大和にも会いたくなかった。親父の存在も思い出したくなかった

二度と会えない


二度と合わなくて済む


俺はどう思ってるんだろう



「あたしは、別に母親が好きなわけではない。むしろ嫌いというか、苦手。とても弱くて、あたしのことは愛してくれなかったから」


でもな?
杏は続けた