愛は惜しみなく与う④

「俺は大丈夫。それより早く手当てしてくれ」


もう話すことはないから
今更何を話せばいい?
決着をつけたかったけど、それは俺がいつまでも、過去に囚われてるから


こうやって、いま同じように隣に立ってくれる仲間が俺にはできた


それで充分なんだ


俺のことで泣いてくれる奴もいる

それでいいじゃん


俺はいま幸せだから


あんな日のことを、思い出したくない


ただそんな俺の表情を見て、言わんとすることが分かったのか、杏は再び下を向いてしまった