愛は惜しみなく与う④

大和を合わせて相手は8人

少なすぎる


杏と泉がいて勝てないわけがないんだよ

でも泉がそうしないのは

ここでこいつらを潰したところで、何も意味はないから


「ちゃんと、話はまとまった。朔はただ俺たちと烈火に帰るだけだ。邪魔するなら相手はするけど、無傷がいいならそのまま黙って動くな」


ゴリゴリの威圧感を出して、泉はいくぞ、と俺の背中を押して公園の外へ出ようとする

自然と手を繋いでいた杏も、俺に引っ張られる形で動き出したが


その足をキッと止めた



「まだ、終わってない」

「…杏?」



俺の手を握ったままの杏は、ビクともしない。ただ下を向き、立ち止まったまま


泉もまた、黙って杏を見る
しかし、何かを悟ったのか、泉はポンと俺の背中を押した


??


下を俯く杏の目の前

俺は、動かない杏が気になり、杏の頬に手を触れると、その頬は濡れていた



「ちょ、おま!お前なんで泣いてんの?どっか痛かったか?!」


顔を上げさせると、杏は泣いていたんだ