愛は惜しみなく与う④

チラッと泉を見ると、視線は合わさずに、ただただ頭をガシガシ触られる


「な、んだよ!」

「ふっ。不安そうな顔してるから」


慰めてるのか分からないけど、泉は大丈夫だ。それだけしか言わない


「…何回も仕掛けて、潰してきたの、あんただよね?」


大和が泉に話しかけるが、俺には全くその内容は伝わってこない

でも泉には伝わるのか、返事をする


「関係ないのに、お前が関わってくるからだろ?何回でも潰してやるよ」


泉?

杏もよくわからないのか、ポカンと口を開けて泉のことを見ていた



「さ、お前の目的は済んだろ?朔のこと、ボコボコにしたし、他に俺らに用はねぇだろ?」

「……もう兄さんに用はないけど、そこの女の子には用があるかも。その子連れて帰れば、兄さんも、お前も嫌がるし、水瀬さんや赤羽さんは喜ぶから」


……どうしてこの状況でそんなことがいえるのか。

大和は感じ取れないんだろうか

泉と杏の強さを


隣にいるだけでも、気を抜けば押し潰されてしまいそうな気迫を