愛は惜しみなく与う④

そんなこと

わかってる


なんなんだろうな、俺は
なんで一人で飛び出したんだろ
どうして、みんなに大和から連絡が来たこと言わなかったんだろ

信用してるのに


大事なのに

なんで一人で動いてしまったんだろう



「ちょっと、まさか、君が兄さんの大事にしてる女の子?」


この空気に割って入るかのように、大和は俺たちに少し近づいてくる

杏は兄さんと呼んだ大和にピクッと反応して、少し後ろに視線を向けた


大和以外の奴らは、地面に伏せている
 
泉も…

きてくれたんだ
身体がいてぇ



「杏…!」

殴られて言葉を発するのも痛い
大和の方へ視線だけではなく、身体ごと向けた杏に、必死に手を伸ばす


どこかへ行ってしまう気がした



俺の手は杏に届かなかった

空を切り

虚しく腕が落ちる




「立て、朔」


力強い声で杏は言い、掴めなかった俺の腕を引き上げた


女の力とは思えない強い力

身体中痛いけど、杏に引っ張られて、自然と杏の隣に立つ形になる



目の前には大和