愛は惜しみなく与う④

いつでも素直にぶつかってくれるのに

俺の過去だって聞いたら受け入れてくれて、一緒に泣いてくれるのも知ってる

わかってんだ

あいつは優しいから


でもそれが今までできなかったのか



俺が自分の過去を恥ずかしいと思ってるから


忌々しい出来事すべて
俺の中の恥ずかしくて惨めな記憶だから


親に愛されない
家族がいない


それは俺にとって、幼い俺にとっては、みんなと違うというコンプレックスだったんだ


杏の顔思い浮かべたら
自分の心にも素直になれる


ほんと、これが終わったら謝ろう


突き放してごめんって言おう


俺の話も聞いてもらおう


ださくてもいいや

なんだか今は、杏の優しさに触れたいと思った



こいつらが殴り疲れるのが先か、大和がやめろと声をかけるのが先か


俺がくたばるのが先か

いっそのこと気絶してみるか?そしたら、やめないかな。その時に隙ができて、逃れる?

いや、俺そんな器用じゃなかったわ


いってーな
腹に力入れるのも疲れてきた


ほんと


「杏に会いたい」


……