昔は、か。


なんとなくだけど闇抱えてるのかな。


本当にそうかは分からない。


けど、なんでだろう。


手当てをする手がすごく優しくて暖かい。


きっと戦闘が嫌いなんだろうな。


人が死ぬところを見たくないから。



「優しい上司だな」



ふと、私の口から出た言葉に驚く匡房。


まぁ驚くよな。


私が1番驚いてるから。


けど私がさらに驚く事になったのは


匡房の綻んだ笑みだった。



「…なんじゃいきなり固まりおって」



「い、いや、貴方の笑みに驚いた」



「わしをなんじゃと思っちょる」



青年のはずなのにお爺さんの様な口調で喋っているので少し、おかしく思えてくる。


彼は彼なりに頑張っているのだろう。


さて、私も頑張らねば。



「ありがとう匡房…私はこれで失礼する。
 そうでないと貴方が怪しまれてしまう」



そう言い残して、私は窓からその場を去った。