それでも時間はどんどん進んでいて。

会場のアナウンスが、いよいよラストの『百花繚乱大華火』だと告げた。


「あー、いっこも見れなかったかぁ」


小鳥遊くんの残念そうな声。


「……でも、私た」


楽しかったよ。
そう伝えようとしたとき。



夜空を彩る大きな花火が数えきれないくらい咲き乱れた。



嘘、なんで。

私たちの目の前には高層ビルが立ちふさがっているはずなのに。