バッグの中身を巾着に入れ替えて外に出ると、辺りが暗くなり始めていた。 小鳥遊くんに手を引かれて歩きだすと、足取りに合わせて下駄の鼻緒に付いた鈴がちりん、ちりりんと鳴った。 まるで私の心臓が鳴っているみたいだ。 ちりん、ちりりん。 好き、好きです。 ちりん、ちりりん。 言えない想いが、夏の風に乗って小さく響いていた。