「これ、似合うな」 「あ、ありがと」 「可愛いなぁ、お前」 「え?」 可愛いなぁ、お前。 可愛いなぁ……。 小鳥遊くんは耳元でそう囁いて、廊下を走っていってしまった。 びっくりしすぎて追いかけることも出来ず、私はただその言葉を反芻して、跳ねる鼓動を抑えられずに立っているのがやっとだった。