「ありがとうございました」



頭を下げて警察署を出たのはそれから2時間が経ってから。



母親を引き取りに来たという親戚の住所を教えられ、それを片手に握り締める詩織。



「寄ってくか?」



「そうだね。知ってる伯母さんの所だし」



更に北へと車を方向転換し、様子を伺いながら聞いてみたのは



「やっぱり……ショックだよな」



こんなダメな俺みたいな男にも、ほったらかしながらも帰れば普通に迎えてくれる親がいるって言うのに。



「どっちかって言うと……一人になっちゃったんだって想いが強いかな」



俯いてそう言うから……俺は思わずその場で車を止めた。