玄関から廊下を抜け部屋へと戻ろうとしている人影。 更にそれを阻止するように後ろから追いかける女の姿。 「待ちなさいよっ!!」 「アンタのせいで……邦夫さんが出て行ったんじゃないのよ」 何があったのか、金切り声を上げる中年女の声は止まらない。 「聞いてるの?ねぇ、詩織!!」 え……? 詩……織……?