何も見れていなかった上に、俺のおかげで会社が成り立ってるなんて思っていた自分が……情けない。



「大丈夫。これだけ瞳をキラキラさせて頑張ってるんだから、きっとうまく行く」



研修を終えた俺に太鼓判を押してくれる浜田カウンセラーに背を押され、決意を胸に社へと帰って来た。



社長に頼んで、部屋は研修のオフィスと同じクリーム色の壁紙に。



そこにはもう……ベッドやバスルームはない。



ゆったりくつろげる広いリビングに、向かい合って顔を見ながら話が出来るふかふかのソファー。



これまで置かれていた、二人掛けのラブソファーは撤去して貰った。



俺も、甘い誘惑に流されてしまわないように、適度な距離感を保ちながら過ごす部屋。



その部屋に、今日やって来るのは……おそらく最大の難関であろう相手。理奈だ。