「かなえさんの方には一応話をしておこう……しかし」



「分かってます。このまま俺が元に戻っても、いつか辞める日に同じ事が起こるかもしれない……ですよね?」



無言で頷く社長に、どれだけ迷惑をかけたのか……と思う。



考えてみたら俺なんかを拾ってくれて、たぶん……俺があの日社長に出会ってなかったとしたら



未だに人を想ったり、胸が痛んだり、そんな気持ちも知らなかった筈だ。



俺は社長に恩返しがしたい。



どうしようもない男じゃなくて、必要な男になりたい。