「気をつけて行ってきて下さい」 「ありがと」 バッチリ化粧を終えた理奈のぷっくりした唇にそっとキスを重ねると、見計らったように内線の音が鳴り響く。 あれから3日。 「来た……か」 一向に鳴り止む気配のないベルの音に仕方なく受話器を取ると…… 「私だ。今すぐ社長室まで来るように」 用件だけ伝えてガチャンと切られる電話。 「相当怒ってんな。ひょっとして……クビか?」 自分の事なのに、どこか他人事に感じるのは……昔の生活に戻ったら、アイツに会いに行く為の壁がな無くなるからなのかもしれない。