「はい、これ」と雅彦がなにかくれた。小さな子供用のおもちゃの指輪だった。

ピンク色のハートの石がついていて、かわいらしい。

「くじで当てたの? ありがと、かわいい」

「それ、引換券だから」

引換券?と言いかけた環奈を雅彦が抱きしめてきた。

「将来本物の結婚指輪を渡してプロポーズしたときに、オッケーならその指輪を渡して。今日のこと思い出しながら」

雅彦が腕に抱きしめた環奈の、額にチュッとキスしてくる。

「環奈、本当に好き」

甘えた声で雅彦が耳元にささやいてくる。

「私も大好きだよ。ずっと一緒にいようね」

遠くで花火の音を聞きながら、環奈は抱きしめられたまま目を閉じた。