マリア様の影がすうっと、環奈の胸元の十字架のネックレスに飛び込んでくる。

トイレの中は真っ暗になり、環奈は手探りでそっと外へ出た。

夜の学校はすべてカギがかかって入れないのでは、と環奈は危惧したが、手をかざすと、マリア様の力のおかげで、ガチャリと音がして開いてくれた。
そのおかげで、屋上まで難なく行くことができた。

環奈は夜の校舎を足音を立てないように歩き、屋上の階段をのぼる。

ドアをあけ、屋上へ出ると雲の間から月光がさしこみ、どこか幻想的な光景が広がっていた。

十字架から光が溢れるようにもれ出て、地面にマリア様の平面の影ができた。

「マリア様、今からどうしたらいいんですか?」

もうすぐすべてが終わる、と環奈の心は浮き足立っていた。