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雅彦が、優しく髪をなでてくれる。
雅彦……もうすぐ目が覚めるからね。待っていて。

しかし目が合うと雅彦は悲しそうな顔をしていた。

雅彦、どうしてそんな顔をするの? 私がんばったんだよ。

環奈は必死に語りかけるが、雅彦の姿がどんどん遠ざかっていく。

待って、雅彦! どこにも行かないでーー。

環奈は両手を伸ばした状態で目を覚ました。
床で寝ていたため、身体中がバキバキだ。

いつのまにか夜になっており、雨はやんでいた。窓から満月が顔を出しているのが見える。

『使い人環奈よ、最期の裁きを行う時間がきました』

マリア様の影の指先が、環奈のスマホを指差す。

池上勇吾のアカウントと裁きのメッセージがあった。

「マリア様、十字架を使い罪を見なくてもいいのですか?」

いつもと手順が違うので、環奈はきく。