最近では、勇吾とそう年齢の変わらないホストに入れ込んでいるらしく、毎晩通い詰めており、ナンバーワンにしてみせる、と張り切っていた。

学校へ行く支度を終え、リビングへ戻ると、母が大いびきをかいてソファで寝ていた。
その姿を見て、勇吾は思う。

いつも料理を作ってくれ、優しかった母はいなくなってしまった。
大金は手に入ったが、これも呪いのひとつではないのだろうか……と。

拳を、ぎゅっと握りしめて、勇吾は家を出た。

ふと向かいにある石森家が目に入った。
『売家』という看板が門につけられている。

ひとり娘の杏奈が死んでしまい、両親は廃人のようになり、ここにいると辛い、という理由で家を手放し、遠方へ引っ越していった。

そう……勇吾の幼なじみの杏奈は1年前に死んだ。