もしかすると、マリアは最初から藤原環奈をターゲットにして、事を進めていたのではないだろうか。

ずる賢く狡猾なあいつなら、やりかねない。

「気づけ、藤原環奈……君は騙されている。今なら呪い殺されずにすむ」

そうつぶやく。頭の中で杏奈の笑顔が浮かんでは消え、胸が苦しかった。

気持ちを切り替えて、勇吾はこれから起こりうる最悪のシナリオをいくつか思い浮かべる。

あと少しで、アレが完成する。それまでに藤原環奈が無事でいてくれればいいが。
勇吾は祈るような気持ちでそう思った。