「ーー答えろよっ」

声を荒げて、小石をトイレ目掛けて投げつける。

小石は立ち入り禁止の貼り紙に命中して、トイレには当たらなかった。

しかし、前方から、ヒュッと冷たいカッターの刃先のような風が吹いた。
勇吾の頬に小さな一文字の傷ができる。うっすらと血がにじんでいた。

……あいつはここにいる。それは間違いない。

勇吾は確信した。
しかし、この二日の間に起きた不可解な死亡事故。
十中八九、あいつの呪いに違いない。

ということは……。

勇吾は校舎を見あげる。

ーーあいつに取り憑かれた人間が学校内にいるのでは。