「あっ、私、ちょっと用事があるから」

環奈はそう言って教室を出た。

ずっと足が震えていて、上手く歩けない。

校舎を出た環奈は体育館へと向かう。

誰にも見られていないことを注意深く確認して、あのトイレへ入った。

真っ暗なトイレの中で手を合わせ、

「マリア様、マリア様……」

とうわずった声で呼ぶ。

少しすると、明るい光に包まれ、マリア様の影が壁に現れた。

『使い人、環奈よ。よくやりました。あなたのおかげで七つの大罪のひとつ、傲慢を裁くことができました』