恐る恐るトイレの中に入る。中は薄暗く、ひどくほこりっぽい。ほこりが肺に潜り込んできたような気がして、環奈は激しくせきこんだ。

つんとしたような匂いもして、しばらく息ができない位にむせこんでしまった。

黒く薄汚れた洗面所があり、和式のトイレがある。

入り口からトイレの真ん中あたりまで進んで、なんとか呼吸を整える。
胸の前で手を合わせてた。強く強く。

「マリア様……マリア様……どうか願いを聞いてください。
私の彼氏の雅彦が事故にあって、ずっと意識が戻らないのです。雅彦は私の大切な……本当に大切な人なんです」