もう……限界……


 子供の頃から、
 大好きで大好きでしかたがなかった六花に、
 触れたくてしかたがない。


 俺は六花の頬に、手のひらを当てた。


 そしてゆっくりと、
 六花の唇に自分の唇を重ねようと……


 したのに……


「わ……わ……私……

 お兄ちゃんに……

 あげたいものがあるんだった」


 俺をはねのけ、
 バタバタとこの部屋から出て行ってしまった。


 階段も駆け下りて、1階に行っちゃったし。


 あ~ 


 俺、やっちゃった……



 自分の気持ちにブレーキが利かなくなって、
 突っ走っちゃったし。


 どうしよう……


 今のキス未遂。


 六花にマジで嫌われたかも……


 『もうお兄ちゃんと別れる』
 なんて言われたら、立ち直れないかも……


 俺はベッドにちょこんと座っている
 『ごんぞう』を抱きしめると、
 ばたんとベッドに倒れこんだ。


 その時、またバタバタバタと、
 階段をあがってくる音が。


 そして、もう俺の部屋に
 戻ってなんてきてくれないと思っていた六花が
 部屋に入ってきて、
 あわてて起き上がった俺の前に
 お皿を差し出した。