「おい六花!
今すぐこのベストを洗って来い」
「わ……わかったよ……」
そんな上から怒んないでよって
思っちゃうけど、
からしを付けちゃったのは私だしな……
私はお兄ちゃんから
真っ赤なベストを受け取ると、
洗面所に走った。
からしの跡は無くなって、
とりあえず一安心。
あとは、洗濯機にかけてと……
私が洗濯機に洗剤を入れようとした時、
『ピンポーン』
玄関のチャイムが鳴った。
何かな?
お兄ちゃんがまた、
ネットで洋服を頼んでそれが届いたとか?
玄関に向かうお兄ちゃんの足音が聞こえた。
そっちはお兄ちゃんに任せて、
洗濯機を回したら、
早く夕飯を作らなきゃな。
そう思って洗面所を出た時、
「は? 六花はいないけど」
玄関から、悪意を感じるほどの、
お兄ちゃんの冷たい声。
え? 私?
いるよ! いるよ!
嫌な予感がして、玄関まで走る。
玄関に立っていたのは、七星くんだった。



