はっ、まずい。



千歳くんに、簡単に人に手を上げる女だと思われてしまったんじゃないか·····?



·····いや、きっとこれは悪い夢だ。



あれ?じゃあさっき千歳くんからプロポーズを受けたのも夢ってこと?



いや、あれは現実·····?否···········



なんだか頭がこんがらがってクラクラしてくる。



あ、れ·····<ruby>瞼<rt>まぶた</rt></ruby>が···············おも·····い··········



「沙那あああああ!!!」



意識が遠のいていく私が最後に聞いたのは、お兄ちゃんが必死に叫んでいる声だった。



「千尋ちゃん!そんな顔してるとイメージ崩れるわよ!」


「うるせぇ!そんなこと言ってる場合か!」


「Je ne sais que faire·····(どうしよう·····)沙那ちゃんが倒れた!」


「僕が沙那ちゃんを医務室まで運びますよ。」


「あら、じゃあちーちゃんよろしくね♡」


「は!?なんであのクソガキなんだよ!そこは俺だろ!」


「はいはい。こっちのちーちゃんは俺がじっくり手当してあげるからね〜♡」


「何でだよ!!離せー!!!」



この日、事務所内で誰かの断末魔が聞こえたと話題になったとか··········。