「おっまたせ〜!」



その声色通りルンルンと軽快なスキップで登場。



ピンクのシャツに青いサングラス。



······とまあ、相変わらずチャラいこと。



「······喋るなって言ったの忘れたんですか?」

「Excusez-moi······(ごめんなさい······)」

「遅れちゃうんでさっさと行きましょう。」



喋ってはいけないという約束を思い出してか、首を赤べこのように振ってアピールをしている尚さん。



······喋らなくても動きが既にうるさい。



そんな問題児を連れて電車に揺られ、バスに揺られ、ようやく目的地である事務所に到着。



「ほえ〜、なんじゃこりゃ。」



そこには多くの高層ビルが立ち並ぶ。



その一角に、一際大きな建物が。



その建物こそ大手芸能事務所『production NOVA 』が構える事務所。



撮影スタジオやライブのリハーサルステージが併設されていて、タレントたちが仕事に打ち込めるような環境になっている·····ってネットに書いてあった気がする。



「その反応、田舎者みたいだからやめておきな。」

「うっ······」



今の言葉、シンプルにグサッときた。



やっぱり本場フランスに住んでいた人の言葉の重みは違う。



·····ふん!どうせ私は田舎者ですよ!