……い、いきなりなんてことを……っ。
とっくに火照った顔がさらに熱くなる。
まだ乾杯したばかりなのに、すでに身が持たない。
対する本多くんは顔色ひとつ変えず、ただ静かに視線だけを中島くんに向けた。
ふと、その口角がわずかに上がる。
どこか皮肉めいていて、だけど決して感情の底を覗かせない、整いすぎた笑み。
「そういう中島は、最近どうなの」
「ふーん? ハナシを逸らすとはずいぶん余裕がないんだな」
「昨日徹夜で人気のデートスポット調べてたお前ほどじゃないけどね」
「──っ、……はあっ!? 何で知っ……」
直後、中島くんがむせた。
首から上がみるみる赤くなっているのは、苦しいからだけじゃないみたい。
「……くそが、しね……!」
さすがと言うべきか……。すっかり本多くんのペースだ。
本多くんの冷静さ、つくづくおそろしい。
他の人から見れば決して一筋縄じゃいかない中島くんの足元を、いつも一瞬でさらっていくんだもん。
それはそうと、中島くんの恋路……気になってしょうがない。
デートスポットを調べてたってことは、“はのんちゃん”って女の子とうまくいった……ってこと、だよね?



