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□
「本多七瀬クン、留年回避おめでとーございま〜〜す!!」
カチン、と四つのグラスが軽やかな音を立ててぶつかった。
場所は市川さんの経営するBAR。
メンバーは本多くんと、中島くんと、三成と、それからあたし。
題して『本多くん3年生進級おめでとう会』─────といったところだ。
こういった集まりは気心の知れた仲間内で行うものだと思って最初は遠慮したのだけど、
放課後の昇降口で三成に無理やり腕を引かれて、結局ここへ来てしまった。
「ほんとにあたしが参加してもよかったのかな……」
そっと、隣に座る三成に声を掛ける。
「逆にお前がいなくてどうすんだよ。本多の彼女だろ」
「っ、か……っ?」
「だろ?」
「……や……ぅ……」
じっと見つめられて、じわりと頬が熱くなる。
彼女……なの、かな。
───『今日はもう、帰したくない……』
あの日の言葉がふと脳裏をよぎる。
あれから何度か会う機会はあったけど、“付き合おう”なんて言葉はまだ交わしてない。
曖昧にうなずきながら向かいに座る本多くんを見ると、ちょうど目が合った。
本多くんはいつもと同じように目を細めて、優しい笑顔を向けてくれる。
その隣であたしたちをにやにやと見つめる瞳が、ひとつ。
「本多ここ最近ガリ勉モードだったけどさあ、“男”としての役目”、ちゃんと果たせてんの?」
───中島くんである。
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「本多七瀬クン、留年回避おめでとーございま〜〜す!!」
カチン、と四つのグラスが軽やかな音を立ててぶつかった。
場所は市川さんの経営するBAR。
メンバーは本多くんと、中島くんと、三成と、それからあたし。
題して『本多くん3年生進級おめでとう会』─────といったところだ。
こういった集まりは気心の知れた仲間内で行うものだと思って最初は遠慮したのだけど、
放課後の昇降口で三成に無理やり腕を引かれて、結局ここへ来てしまった。
「ほんとにあたしが参加してもよかったのかな……」
そっと、隣に座る三成に声を掛ける。
「逆にお前がいなくてどうすんだよ。本多の彼女だろ」
「っ、か……っ?」
「だろ?」
「……や……ぅ……」
じっと見つめられて、じわりと頬が熱くなる。
彼女……なの、かな。
───『今日はもう、帰したくない……』
あの日の言葉がふと脳裏をよぎる。
あれから何度か会う機会はあったけど、“付き合おう”なんて言葉はまだ交わしてない。
曖昧にうなずきながら向かいに座る本多くんを見ると、ちょうど目が合った。
本多くんはいつもと同じように目を細めて、優しい笑顔を向けてくれる。
その隣であたしたちをにやにやと見つめる瞳が、ひとつ。
「本多ここ最近ガリ勉モードだったけどさあ、“男”としての役目”、ちゃんと果たせてんの?」
───中島くんである。



