「困っているときはすぐに気づいてフォローしてくれるし、経営戦略を緻密に練り上げて社長を支えているところもすごくカッコいいし、人として尊敬してる。生巳さんが初めてなの、ずっとついていきたいって思えて、こんなにめが──」


つい〝眼鏡が似合う素敵な人は〟と口が滑りそうになり、慌てて口をつぐむ。危ない。

不思議そうにするふたりに、私はへらっと笑い、「め、目が綺麗で素敵な人は」と咄嗟にごまかした。

母は私の言葉になんだか感激したような様子で、表情をほころばせる。


「よかったわね、花乃。そんなに強く思える人に出会えて。私も嬉しいわ」


純粋に喜んでいる母に笑顔を返しながらも、私の中では罪悪感がチクチクと心を刺していた。