「あの……」

 口づけとか言ってたよね。

 ヤバい人なんじゃ……?

「午後からの授業。出られますか」
「え……」
「そろそろ昼休み終わってしまいますが」
「そんなに寝てたんですか!?」

 眠気が一瞬で、引いていく。

「出ます!」

 これ以上休んでしまっては、授業についていけなくなる。

「では。昼食をとってから戻るといいです」
「そんな悠長にごはん食べてる時間……」
「君のご友人が。持ってきてくれましたよ」

 ベッドの傍らに、わたしの鞄が置いてあった。

「友達……って」
「小松さんです」

 沙里が届けてくれたんだ。

「寝てるところを起こしたくないので、声はかけないでおくと」

 そう……だったんだ。

「少しだけでも食べられそうなら。食べていくといいです」