さっきから様子がおかしかった紗夜。

ついに泣き叫び始めてしまった。

星羅が目配せしてくる。

.....ああ、わかってる。紗夜の先生に何かあったんだろう。

紗夜を救うにはどうすればいい.....?

そのときだった。


「紗夜」

知らない男.....いや、2位入賞のカイル・ケネディが紗夜を突然抱きしめたんだ。

それも多くの人が見守るなかで。

「紗夜。ごめん。ごめんな。俺が悪かった」

.....なぜ。

紗夜の彼氏は俺なのに.....。

飛び出そうとした俺を制したのは星羅。

無言で首を横に振る星羅を見て、黒い感情が胸に渦巻く。

「紗夜。大丈夫だから。ほら」

カイル・ケネディはそのまま泣きじゃくる紗夜の手を引いて、外に連れて行ってしまった。

俺はなんて無力なんだ。

彼女1人さえ救えないなんて。

「ボーッとしてるんじゃないわよ。気になるなら追いかけなさいよ」

星羅の言葉に我に返る。

俺にできることはあるだろうか.....?