｢ほんとに大丈夫ですから.....っ｣

｢.....まだ顔色悪いのに。学校は？行くの？｣

｢はい｣

｢なら行く途中で何かあったら連絡して｣

そう言って名刺を渡してくれた。

｢ありがとうございます｣

｢いいえ。私次で降りないと行けないけど無理はしちゃだめよ？｣

｢はい、本当にありがとうございます｣

その女の人が降りたあと私はもらった名刺を見もせずぐちゃぐちゃに丸めてポケットに突っ込んだ。

親切で素敵な若い女の人。

“先生”と似ててもあの人は“先生”じゃない。

｢はぁ...｣

大きなため息が出てしまった。

優しくしてもらったのにこんなことしか考えられない自分が恥ずかしい。

こんな私、“先生”が見たらどう思うのかな.....。

それでも私は先生との思い出ばかりに縋ってしまうんだ。



今でも目を閉じればあの頃の映像が鮮明に流れてくる.....。