「ゔっ………はは…ははははははっ……いいねぇ…俺が憎いか?それとも怖いか?…でもなサユ、俺はお前の事本当に自慢の妹だと思ってるぞ…。俺が殺人という禁断の実験を行ったが故に生まれた本来なら生まれるはずのなかった、望まれずに誕生した哀れな子供……サユ、生まれてきてくれてありがとう…」

「いやあああああああああああああああああああっっっっ!!」

叫ぶと同時にその場にしゃがみ込む私。
私はもはやどうすればいいか分からなかった。というより、もう自分が存在している事自体が物凄く汚らわしくて忌々しくていっそ消えてしまいたいとすら思ってしまった。
しかし、そんな私に容赦無く悪魔は囁き続ける。
男は俯く私の髪を乱雑に掴むと、私の頭をグッと強引に引き上げた。視線の先には男の悪魔のような顔があった。

「ぷっ…あはははははははははは!いいねぇその顔!!無垢な存在がどんどん歪んでいくその様…もっと…もっと歪んでいいんだよサユ…。面白い…面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い面白い……傑作だよ。」

そう言ってまた悪魔のような声で笑う男。そして、その男の笑い声が徐々に遠く感じ始めると同時に私は意識を失った。







私のお父さんは私のお父さんではなかった。
私のお母さんはあの男のせいで強姦された。
そして私は…お母さんが強姦されて生まれた子供。あの男が殺人を犯さなければ生まれてくるはずのなかった子供。殺人犯の妹で強姦魔の娘……。

私の知らない私の家族の、そして、私の知らない私自身の正体を、私はまた突きつけられる様に知ることになったのだが、その事実は到底受け入れられるようなものではなく、私はこの世界に、家族に、そして私自身の存在に深く絶望した。